
昨日遅くにTechCrunchに掲載された記事によると、Appleと音声認識企業Nuanceは、AppleによるSiri買収後、数ヶ月にわたり買収交渉を行っていたという。Appleが昨年4月に買収したSiriは、「バーチャルパーソナルアシスタント」として販売されるiPhoneアプリを開発しており、ユーザーからの音声による質問(例えば「この辺りで駐車場はどこにありますか?」など)を聞き取り、回答を返すという。
TechCrunchは以前のレポートで、Siriの買収によりiOS 5は「提供される様々なサービス全てにおいてOSに深く統合されると言われるアシスタント技術」を搭載するだろうと報じました。しかし、Appleは買収以来、Siriのパートナー企業全てと契約の再交渉を余儀なくされており、どうやらNuanceだけが交渉を続けているようです。TechCrunchの情報筋によると、Appleとの交渉は買収というよりは提携という形で、大規模なものになる可能性があるとのことです。
現段階では買収の可能性は低いようです。主にコストをめぐるいくつかの理由からでしょう。Nuanceは60億ドル以上の評価額を持つ上場企業であり、さらにその価値の大部分は様々なライセンス契約によるもので、AppleがNuanceを買収すればこれらの契約は停止される可能性が高いでしょう。もう一つの選択肢は、AppleがNuanceと提携し、音声認識技術のライセンスを取得することです。TechCrunchの情報筋によると、現段階ではそちらの方が可能性が高いようです。買収が停滞している理由は、NuanceのCEOであるポール・リッチ氏が「非常に強硬な交渉者」であり、スティーブ・ジョブズ氏に匹敵するほど強硬な交渉を展開したことが、両社の膠着状態を招いているためだと思われます。
AppleにはNuanceとの提携以外にも選択肢があります。独自のサービスを構築するという選択肢もありますが、これは法的な問題(Nuanceは多くの特許を保有している)を抱え、時間もかかるため(Appleはそれを望んでいないかもしれません)、Googleと提携するという選択肢もありますが、現在のスマートフォン市場を巡る競争を考えると、その可能性は低いでしょう。したがって、Nuanceの音声認識技術の優れた性能を考えると、Appleがここで良い選択肢を持つ可能性は低いでしょう。
WWDCが急速に近づき、iOS 5が何らかの形で登場する可能性が高まっていることから、Appleはこの段階でNuanceとの契約締結を急いでいると推測されます。特にNuanceがiOS 5エクスペリエンスの重要な基盤となるのであればなおさらです。MG Siegler氏がこの記事で最後に指摘しているのは、次の点です。
そして真実は、NuanceもAppleを必要としているということです。Googleの脅威にさらされているだけでなく、Nuanceのテクノロジーは、Siriのようなそれを活用するアプリがなければ、ほとんど意味がありません。そして、そうしたアプリの多くは、iOSで登場しています。
[TechCrunch経由]
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