先月、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領と鴻海精密工業の創業者、郭台銘（テリー・ゴウ）氏が北京で公式会談を行い、鴻海の子会社フォックスコンが今後5年間で120億ドルを投資し、ブラジルでモバイル機器の生産・組立を開始する可能性について協議したと報じた。対象には、現在フォックスコンがアジアの工場で組立を行っているアップルのiPadも含まれる。この投資は、鴻海とブラジルのメルカダンテ科学技術大臣との長期にわたる交渉の成果であり、ブラジルの成長著しい消費者市場をターゲットとするとともに、フォックスコンとその提携先であるアップルが、輸入関税、高騰する価格、小売店の不足に長年悩まされてきたブラジルにおける機器の流通問題に直接対処することを可能にする。

当初の報道では、フォックスコンが今年11月にブラジルでiPadの生産を開始する計画だとされていたが、ロイター通信は本日、同社は予定日を7月に延期したと報じた。しかし、鴻海は数年前にソニー、デル、HP向けの部品を生産する3つの工場をブラジルに開設して以来、高い人件費に直面してきた。そのため、同社は依然として減税やその他の政府による譲歩を求めている。iPadの生産が既存の工場で行われるのか、それともフォックスコンがiOSデバイス生産専用の新工場を開設する予定なのかはまだ不明だ。ここ数週間の憶測では後者の可能性が示唆されており、フォックスコンからの巨額投資や、ブラジル政府に提出された要件（中国での将来の従業員200人の研修、または2万人の専門エンジニアの必要性など）を指摘している。

フォックスコンは、ブラジルにおけるiPadの組み立て開始予定日を11月から7月に前倒しした。これは、急成長を遂げるブラジルの消費者市場におけるiPadの膨大な需要を取り込むためだと、エスタード・デ・サンパウロ紙とフォリャ・デ・サンパウロ紙が報じた。両紙は政府関係者の発言を引用して報じている。

「これは大胆なタイムラインです。実現可能な範囲で、実現に向けて取り組んでいきます」と、アロイツィオ・メルカダンテ科学技術大臣はフォリャ紙に語った。

ロイター通信はまた、フォックスコンが当初はアジアから部品を輸入し、ブラジルでデバイスを組み立て（そのため輸入材料に対する税制優遇措置が必要）、今後数年で製造チェーンを現地生産に移行すると報じている。